目的と意義
本研究の目的は、神奈川県下の急性期病院において、急性期脳梗塞に対するtPA静注療法および脳血管内治療による再開通治療(血栓回収療法)の実施状況、治療成績、良好な転帰に寄与する因子等を多施設共同前向き登録研究によって明らかにすることです。さらに血栓回収療法目的の転院搬送の実態、治療受容困難な地域の存在、本治療に関する問題点等を検討します。
それによって、神奈川県下の各医療圏において、本治療が直接搬送・転院搬送でどの程度行われているかの現状を把握し、今後本治療を神奈川県下に広く普及を図るための基盤を確立することを目指します。またその結果は、神奈川県下における一次脳卒中センター及び包括的脳卒中センターの整備に向けて有用な示唆を与えるデータとなると考えます。
研究デザイン
多施設共同前向き登録研究(観察研究)
対象
- 急性期脳梗塞に対してtPA静注療法または脳血管内治療による再開通治療、あるいはその両方の治療を受けた患者
- 神奈川県下の施設で本治療を受けた患者
実施予定期間
倫理委員会承認後~平成32年9月30日(登録締め切り平成32年3月31日)
登録方法
Web登録
- 登録1:入院時および治療に関するデータを、発症7日以内に登録する
- 登録2:発症後90±10日のデータを、発症120日以内に登録する
エンドポイント
主要エンドポイント:発症90日後のmRS 0-2の割合
副次エンドポイント
- 発症前から発症90日後(±10日)までのmRSのシフト解析を用いた臨床的改善度
- 閉塞血管の再開通の程度(TICI分類)
- 発症24時間以内の症候性頭蓋内出血
- 発症90±10日以内の死亡
- その他の有害事象
以上を各治療において比較検討する。また地域毎の問題点を検討する
治療方法の選択
- tPA静注療法に関しては、日本脳卒中学会tPA適正治療指針に基づいて発症4.5時間以内の急性期脳梗塞患者に投与する。
- 脳血管内治療による再開通治療には、主に脳主幹動脈閉塞に対して行う。その手技に関しては、ステント型血栓回収機器・血栓吸引器材による血栓回収術、局所線溶療法、経皮的脳血管形成術・ステント留置術などの再開通療法等の制限は設けず、各施設の適応基準で行う。
調査項目
- 患者基本データ
年齢、性別、既往歴、発症前mRS、内服薬等 - 発症(収容)場所、搬送施設、転送方法に関して
患者収容場所、搬送施設と治療を行った施設、 - 脳梗塞に関して
NIHSS、脳梗塞の機序、画像所見(ASPECTS)、 - 治療の詳細と時間経過
tPA静脈投与の有無、デバイス、閉塞血管、再開通の程度、合併症 - 90日後のmRS
研究組織
主任研究者 | 植田敏浩 | 聖マリアンナ医科大学東横病院脳卒中センター |
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副主任研究者 | 長谷川泰弘 | 聖マリアンナ医科大学神経内科 |
共同研究者 | 山本正博 | 横浜市立脳卒中・神経脊椎センター神経内科 |
田中章景 | 横浜市立大学神経内科 | |
西山和利 | 北里大学神経内科 | |
丸山路之 | 済生会横浜市東部病院脳血管内科 | |
北村佳久 | 横浜栄共済病院脳神経外科 | |
寺田友昭 | 昭和大学藤が丘病院脳神経外科 | |
森本将史 | 横浜新都市脳神経外科病院脳神経外科 | |
竹内昌孝 | 西湘病院脳神経外科 | |
壷井祥史 | 川崎幸病院脳神経外科 | |
伊藤英道 | 聖マリアンナ医科大学脳神経外科 | |
森嶋啓之 | 川崎市立多摩病院脳神経外科 | |
小野寺英孝 | 聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院脳神経外科 | |
郭 樟吾 | 脳神経外科東横浜病院脳神経外科 | |
研究参加施設 | 神奈川県下の急性期脳卒中診療施設 | |
事務局 | 高田達郎 | 聖マリアンナ医科大学東横病院脳卒中センター |